日々の泡

書きたいこといろいろ。

4522敗の記録

少し前の本ですが、やっと読了。

 

著者はNumberで「野次馬ライトスタンド」という面白コラムを執筆している方。あの「もつ鍋 わたり」のプロ野球記事の人です。

 

筋金入りの横浜ファンによる、思い入れたっぷりの球団史なのに、感情的な表現を極力排し、チーム関係者への真摯なインタビューと、史実だけを淡々と記すスタイル。そのことで逆に悲哀が浮き彫りになり、やるせなさ、切なさがひしひしと感じられ、それと同時にチームに対する愛おしさとプロ野球を応援し続けることのおかしみがにじんでくる、そんな文章。

 

プロ野球観戦というのは日々の積み重ねなので、基本的には静かな生活習慣だ、と私は思っている。優勝するチームでも3割は負けるし、どんなスター選手でも怪我もすれば4タコの日もある。球場に行ったら雨に降られた挙句、周囲のお客に恵まれなかったり、ろくでもないシーンばかりみてため息をつくことだってある。

それでも振り返ってみると、1試合、1打席、1球がかけがえのない記録、シーンとして刻まれている。プロ野球は自分の生活に寄り添い、たまに奇跡や、絶望や、人生の深淵を見せてくれる。(新庄もそんなことを言ってたな)

 

野球を見続けることの尊さをあらためて感じさせてくれる名著でした。

願わくば!阪神タイガース関連でもこんな文章が読みたいなあ。