日々の泡

書きたいこといろいろ。

【読者】山崎ナオコーラ「美しい距離」

確か「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」で紹介されてた本で、メモっていたのだったかな。図書館で借りて一気に読了。

40すぎで癌になった妻を看取る夫の話。夫婦関係、仕事のこと、お互いが独立した世界を持つ個人であること。繊細な夫の思考の描写が印象的。周囲の人の些細な言動にすぐ苛ついては「それはこちらの感受性の問題だ」と客観視するシーンが頻発する。

主語を意図的に?省略する独特の文体に少し慣れを要したが、介護休業や介護保険など現実的なディテールもかなり参考になった。装丁も美しい。いつか家族の死が迫った時に、また読んでみたいと思った。